残花亭日暦 田辺聖子





金曜日の夜というのに、明日の試合のことを考えると、焦燥感にとらわれてしまうので、最近読んだ本のことなど。【著者を若い人は知らないと思うけど、説明はしませんので、まぁ適当にトバシテクダサイ】




もうずいぶん前、田辺さんの小説は“ちょっと、古いかな(彼女の感覚は現実と少し離れている)”と思ってから読まなくなり、「カモカのおっちゃん」シリーズも、「姥」シリーズにも行かず、「ジョゼと虎と魚たち」の文庫(昭和62年1月刊)だけ本棚にあるという状態だった。


田辺聖子は軽妙な小説で知られているけど、そのエッセーを読んだときに文章の厳しさ、日本語の厳格さに驚いたことがあって、“これだけ書けるから、ああゆう小説も書けるんや”と納得した、文章を書くことを生業にしている人のその対象にしているもの、人に対する視線の曇りなさが胸を打つ。


死に近づいていく愛する人の姿を、表現する文章に“こう書くか”と驚きつつ、涙がわいてきて困った。読み終えて、すぐもう一回読んだ。この本の中で紹介されている川柳。




『遠き人を北斗の杓(しゃく)でで掬(すく)わんか』 橘高薫風




失くしたとき、“北斗の杓で掬いたい人”がいるのって幸福ではないのか、と思ってしまう私は不幸なのか。